注意せよ!遺品から催涙ガス!
夫の持ち物がすべて記念品に変わる
本当に遺品から催涙ガスが出ているわけではありません。
遺品の整理をしようと思うと涙があふれてきて整理が進まない、ということです。
念のためですが。
峰雄さんが亡くなったとたん、峰雄さんのものがすべて、もう手に入ることのない、記念品になってしまったようです。
始めはこのことに気づいていませんでした。
夫との死別後、仏壇や、相続関連の書類や、夫が会社に置いていた私物などが家の中に増えました。夫の物を整理して、スペースを作りたいと思いました。
始めに取り掛かったのが、夫のダウンコートです。少し傷んできているし、場所をとるので心置きなく捨てられるだろう、と思いました。
でもいざ処分しようと思ってダウンコートを取り出してみると、夫のにおいというか、着用感があって、これを着ていた夫がもういないのだということが強烈に突き付けられて、たまらなくなって、涙が出てきて、
もうだめだ!
と撤収したのです。
次に、夫のはき古した靴下なら大丈夫だろう、処分しようと思いました。でも靴下も取り出してみると、以前洗濯した靴下を干していたときに、峰雄さんが柄が同じものになるようにペアにしてくれてたな、なんてことを思い出して、またたまらない気持ちになって、涙が出てきて、
やっぱり、撤収!
となりました。
この調子でスーツもダメ、シャツもダメ、ジーパンもダメでした。
その時捨てられたのは、同じものがいくつかある靴下をひとつだけ残すとか、どういうわけか笑えるぐらいの穴のあいていた下着とか、気づかないうちに汚れがついてしまっていたコートとかでした。
夫の靴下を見て、涙を流す日が来るとは思っていませんでした。
衣類だけではありません。楽しかった思い出がよみがえってしまうもの、旅行に行ったときに買ったものや、ふたりで一緒に行った美術館で買った、クリアファイルや絵はがきなども催涙ガスがでています。
夫が仕事で悩んでいた時に使っていた書籍やノート、手帳も見てしまうとたまらない気持ちになります。
夫の持ち物はたくさんあるので、このままにしておくことはできないでしょう。
今は夫の物にうっかり近づいて催涙ガスを浴びないように、夫の物がある場所を避けて生活しています。これは結構不便です。家が狭いですし。
長丁場になりそうですけど、ちょっとずつやろうと思います。
体調のいいときに、何があるのか確認→撤退、できれば少し処分→撤退、を繰り返していこうと思います。
まずは、少し夫のものを減らして暮らしやすくするのが目標です。