夫が急死してしまった後、どうしてこんなことになったのか、何か間違えたのかと考えることがよくありました。
でも今は、これまでの選択は間違っていなかったと思えます。
ダン・アリエリーさんの本、予想どおりに不合理を読んだからです。
Contents
何か間違えたのかと考える日々
夫との死別は私には突然過ぎてなかなか受け入れることができませんでした。
夫がいなくなってしまったことも受け入れがたかったし、シングルとなってしまった自分の社会的な立場の弱さも納得がいきませんでした。
今までしてきたいろんな選択がすべて間違いだったように思えました。
仕事とプライベートのバランスのとり方、職業生活上でしてきた大きな決断が間違っていたと思いました。
結婚したこと自体が間違いだったのではないかとも思っていました。
結婚式の日に戻れるなら、全力で結婚を阻止したい
そう思っていた時期があります。
自分は不幸なのか不幸じゃないのか
自分が不幸なのか不幸じゃないのか、ということについてもよく考えていました。
夫との死別は不幸なできごとです。でも死別以外の私の人生は不幸なのか、そうじゃないのか。
夫との死別という不幸は幸せな時間があったことの裏返しではないのか。
結婚をしないでひとりで生きていけば夫との死別というつらい目にあうことはありません。でも、結婚しないでひとりで生きていくことは私にとってしあわせなのか、しあわせじゃないのか。
今は、ひとりで生きていくことは、私にとってはしあわせではなかっただろうと思います。
人は物事を相対的に判断する
行動経済学教授のダン・アリエリーさんの書いた本、予想どおりに不合理を読みました。この本、とても面白いです。
予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
この本のダン・アリエリーさんの説明によると、人は物事を相対的に判断する傾向が強く、相対的に比較できないもののどちらがいいかを判断するのは苦手で、簡単に比較できるものから選ぶそうです。
たとえば、
ローマへの旅行とパリへの旅行どちらに行きたい?
と聞いた時と
コーヒー付きのローマ、コーヒー無しのローマ、パリのどれがいい?
と聞いたときでは、三択のうちのコーヒー付きのローマの人気ががぜん上がるそうです。
コーヒー付きのローマとコーヒー無しのローマというとても似てるけどちょっと違うというものだととても判断しやすいので、いい方のコーヒー付きのローマが急に良く見えてくるそうです。
これを読んで私が考えていた、
結婚して夫に突然死される人生と、結婚せずにひとりで生きていく人生と、どちらがしあわせだったのか?
ということを判断するのは、絶対無理と思いました。
全然違うものなので、比較ができないからです。
今までの選択は間違っていない
私が結婚しようと思ったとき、
信頼できそうに見える黒部君(夫)と結婚して、仕事を続けて子供も産んで、だいぶ大変そうな、でもたぶん楽しいこともたくさんある生活
と、
女性が少ない職場だけど自分のためだけに使える時間でキャリアアップと充実した毎日をめざす生活
このふたつを検討するというような、難しい選択をしたわけではありません。
結婚したい?したくない? → できれば結婚したい!
じゃあ、誰と結婚したい? → 黒部君と一緒になるのがいちばん楽しそう!
こういう簡単な選択をしたのです。
でもその後どうなるかわからない状態でしたふたつの選択は、夫との死別後の今から見ても、とてもまっとうな、当たり前の選択に見えます。
その後毎日の結婚生活の中で、いろいろな選択をして今の結果があるわけです。今の状態が満足だと思えなくてもそのときどきでベストの選択をしてきているのだと思います。
だから、今の状態は取り得る選択の中でベストの結果なのだと思います。
今までの選択は間違っていない、これが私のベストだ
と思います。この私のベストをもっといいものにしていきたいと思います。
ここを読んでくださってる方も、
何か間違えてしまった
と思っている方がいらっしゃるかもしれません。
でも、きっとそんなことはありません。
皆さんそのときどきで、ベストの選択をされているのだと思います!