大切な人とお別れをした後、とても悲しくて苦しいですよね。
こんなに不幸になるなんて想像していませんでした。
でも人間は自分の不幸がどれほど続くのか、過大に見積もるくせがあるというのです。
そのことをインパクトバイアスと言います。
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インパクトバイアスとは、アメリカの心理学者のダニエル・ギルバートさんが主張したものです。不幸な出来事に遭うことを想像したとき、人は実際に感じるよりももっと不幸になるだろうと見積もるというものです。
不幸だけでなく幸せも、いいことが起こったときには実際に感じるよりももっと幸せだろうと予想するのです。
ダニエル・ギルバート「私たちが幸せを感じる理由」1
例えば事故で下半身不随になると、人は不幸な時期が長く続くと思っていますが、実際にそうなってしまった場合、そうなってしまった直後はショックを受けているのですが、1年後にはそれほど不幸には感じておらず、わりと普通に戻るらしいのです。
また幸せの例では、高額の宝くじに当たった人は1年後には宝くじにあたったことをそれほど幸せなことだとは思っていないそうです。
不幸なできごとから1年後には普通に戻れるものなのでしょうか。
大事な人との死別からたった1年で回復できるとは思えませんが、回復の時期は予想よりは早いのでしょうね。
インパクトバイアスについて主張した、ダニエル・ギルバートさんは心理的免疫システムというものも提唱しています。
人はひどい出来事が起こったときそのショックから自分を守るために、起こった出来事からポジティブな面を見つけるというものです。
これは無意識のうちに行われます。
この心理的免疫システムが興味深いのは、この心理的免疫システムは起こったできごとが心理面の健康にとって深刻な脅威のときのみ働くということです。
ちょっと頭に来るとか、なんとか我慢できるぐらいの悲しみでは心理的免疫システムは動き出さないのです。
人間は深刻な事態のときのみ心理的免疫システムが働いて、不幸に思える出来事に対して貴重な経験をした、意味のある経験をしたと考え始めるのだそうです。
私は夫と死別したことについて愚痴っぽかったり割り切れない気持ちのときがあるのですが、これは心理的免疫システムが動き出すほどのことではなかったということになるでしょうか。
人は行動しなかったことを後悔する
ダニエル・ギルバートさんの本によると、人はしたことの後悔よりも、しなかったことの後悔の方を強く感じるそうです。
人は、やったことの結果が満足できないものになるならやらない方がいいと考えがちですが、実際はそうではなくて、行動しないことを一番後悔するのだそうです。
ダニエル・ギルバートさんのTEDを見たり本を読んでいると、ところどころ反論したくなることもあるのですが、回復までの時間は予想より短そうなことがわかってちょっと安心します。
行動はしたほうがいいこと、選択はできない方が幸せな場合があることなども本に書かれていて興味深いです。
ダニエル・ギルバートさんの本です。
明日の幸せを科学する